コラム合戦~夏の陣~#18
「デザインの敗北」?
要約
セブン-イレブンのコーヒーメーカーは、佐藤可士和さんがデザインしたシンプルなものである。しかし実際の店舗で使われているコーヒーメーカーはテプラだらけになっている。これはコンビニが時間と場所に制約されていることに加え、このような機械を使うことに不慣れなユーザーが多いということに対応した結果だろう。
感想
今回取り上げたのは、「デザインの敗北」と呼ばれ、度々紹介されている問題です。「デザインの敗北」とは、洗練されたデザインを追求した結果、利用者に伝わりにくいという理由から、テープで説明を上書きされたり、見慣れたデザインに貼り替えられたりすることを指しています。このコーヒーメーカーのデザインも「デザインの敗北」と言われ、利用シーンをわかっていないと批判されることがありますが、本当は単純な「敗北」ではない気がします。これはひねくれた見方ですが、シンプルなデザインにしたからこそ、各店舗の客層に合ったカスタマイズが可能であるとも考えられるからです。(テプラを貼られるのは想定外だと思いますが……。) 初めて使う人でもわかりやすい仕様にするのが絶対であるとするか、企業の思い描く利用シーンにハマるお洒落デザインにするか、難題ですね。東京五輪を見据え、身近なもののデザインが「わかりやすさ」と「カッコよさ」のどちらに重きを置いているか、注目してみたいです。
注釈
佐藤可士和・・・クリエイティブディレクター、アートディレクター、グラフィックデザイナー。ユニクロのロゴデザインなどで有名である。
テプラ・・・株式会社キングジムが製造・販売するラベルプリンター。他社のラベルプリンターもこの名称で称されることがある
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